今回、取材しましたのは、株式会社パワーウーマンデザイン、代表取締役の須澤美佳さんです。
立教大学卒業後、三菱総研DCS株式会社に入社。
システムエンジニアを経験された後、出産を機にWebデザイナーに転身されました。
フリーランスとして活動されながら、ママの新しいワークスタイルとしての“起業”を推進し、
ママ起業支援サイト『ママントレ』運営(http://mamantre.com/)や初級者向けITセミナー開催などを行なっておられました。
PowerWomenプロジェクト「ママ社長募集」(http://powerwomen.jp/)で採用され、
株式会社パワーウーマンデザイン(http://powerwomendesign.jp)代表取締役に就任されました。
働く女性として、子どもを育てるママとしてどうあるべきか。
笑顔の中に、凛とした力強さを感じました。
(山内 優花)
【大学生までの経験・考え】
システムエンジニアの道へ
・学生時代は何に励んでいらっしゃったのですか。
―ビックバンドジャズに打ち込んでいて、音楽漬けの毎日でした。
ライブハウスでライブを行なったり、充実した大学生活を送っていました。
・就職先を選択にするにあたり、何か重視されたことはありますか。
―私が就職活動を行なっていた当時は、超氷河期で大変でした。
いずれ結婚と出産はしたかったので、復帰できるような技術を
身に付けられるような職種がいいな、と思っていました。
当時は、パソコンが企業でどんどん活用され始めていた時代でした。
そこで、ITの技術を身に付けることができれば将来必ず役に立つと思い、
システムエンジニアになることを決めました。
【仕事観・職業観】
しんどいときこそ楽しむ!
・“働く”ということに関して、どのような方針をお持ちですか。
―仕事に自分らしさを加えることです。
誰にでもできる仕事でも、“またこの人にお願いしたい”と思ってもらえるように考えながらやります。
特に、システムエンジニアは男性職場だったので、女性らしさや心配りを心がけていました。
また、何でも楽しむことです。つまらない仕事でも楽しむ方向に変えてしまうんです(笑)。
社会人になったら1日の7~8割仕事なので、楽しまないとやってられませんからね。
・とても前向きな須澤さんですが、挫折された経験はありますか。
―大阪に結婚で転勤してきた頃はしんどかったですね。
業務量が大変多く、倒れそうになっても働かなくてはいけない状況に、体力的にも精神的にも追い込まれました…。
ただ、前向きな性格なので、しんどいときにしんどいと言っていてもしょうがない!と思って、
気持ちを切り替えて乗り切りました。
・フリーランスになったきっかけを教えてください。
―大きなきっかけとしては、出産したことですね。
出産したあとに働こうと思ったのですが、肝心の託児所がなかったんです。
働き先が決まらなければ、託児所が決まらない。
託児所が決まらなければ、働き先が決まらないといったジレンマに陥りました。
2007年の出産当時は、待機児童問題は今ほどひどくはなかったんです。
ただ、2008年にリーマンショックが起きて、より現状は悪化する一方で…
会社で働く、という選択肢自体が無くなりました。
ただ、出産後に通信教育でWebの勉強をしていたことや、
前の会社の先輩が起業したことで、フリーランスの存在を知りました。
そのようなときに地元で女性創業塾というものが開かれることを知り、通ったことが今につながっています。
・ご主人も自営業をされているとのことですが、お互いどのように協力しあっているのでか。
―お互いを縛らないことが大事だと思っています。
どちらかができないことは、どちらかがやるという感じで思いやりながら、
起業するうえで主人の協力や理解は不可欠ですね。
・フリーランスから、代表取締役になると決断したきっかけはありますか。
―フリーランスだとすべて自分でやらなければならないので、苦手分野の克服も必須でした。
そして様々なフリーランスの方々とお会いするなかで、各々強みや弱みを持っておられることを知りました。
そこで、主婦は時間が限られているし、集団になって各々の強みを活かしていけば
より良い仕事ができるのでは、と考えたんです。それに組織になればママでも稼げる案件が増える!と。
そんなときに「ママ社長募集」を目にして、これだ!と直感で決めました(笑)。
・影響を受けた書籍、経営者の方はいらっしゃいますか。
前述の女性創業塾で講師を務められていた山口照美さんと、
私をママ社長へと導いてくれたPowerWomenプロジェクト(http://powerwomen.jp)代表の宮本直美さんです。
山口さんは私をフリーランスへと導いてくれた恩師。
講義では綺麗事だけでなく、苦労話や起業家の実情を体当たりで教えてくださったのが印象的でした。
そして卒業後も気にかけてくださるなど、人間味溢れるところもとても尊敬しています。
宮本さんは、ほんわかとした女性らしい柔らかな風貌からは想像できないほどのパワーを持つ方。
アイディアと行動力、巻き込み力がすごくて、
「笑顔で働きたいママのフェスタ(http://powerwomen.jp/festa/)をはじめ、
会社設立、IT在宅ワーカー事業など、ものすごいスピードで実現していく姿にいつも刺激を受けています。
【人材観】
笑顔で働ける会社を目指す
・社員全員で共通して持っておきたいと思われる考えや価値観はありますか。
―笑顔で働くことができるように楽しむ、ということです。
そして育児の片手間ではなく、仕事に真摯に取り組んでいる姿勢でできることを自社を持って証明したいですね。
また、そう言えるように勉強会・情報交換を行ってキャッチアップしていけるようにしたいと考えています。
・組織を拡大するうえで、採用の際に求める人物像とはどのようなものですか。
―現在、社員は雇わず登録スタッフに業務委託している形で、スタッフもママ限定で募集しているのですが、
今後はこだわらずに、結婚を考えている女性や、イクメンもアリかなと思っています(笑)。
【将来】
ママでも働けることの証明を
・今後の事業について、成長イメージや戦略を教えてください。
―まず、自分たちの組織を一流にしていきたいと思っています。
そして、フリーランスで働いていける人を増やしていきたいです。
ママの働き方の選択肢を増やすことで、出産前の女性のママに対する悪いイメージを払拭し、
「ママになるっていいな」と思ってもらえるようにすることが目標です。
これからも、新しい働き方をどんどん推進していきます。
・このブログを見ている学生、ビジネスパーソンに一言お願いします。
―自分軸を持ってください。人と比べて、幸せになる人なんていません。
比べるのではなく、自分で考えて足りない部分を分析すれば次につながります。
また、自分軸を持っていれば自分なりの幸せの価値観が見えてきますよ。
【WestBoosterに参加して】
―女性の学生にキャリアパスに関して相談を受けたり、男性の学生に育児に興味があります!と
話しかけられたり…学生の意識が高いな、と感じました。男性の価値観も段々変わってきているので、
女性たちはより動きやすい時代になってきているのではないでしょうか。