今回取材いたしましたのは、Team OZ 辻大地さんです。
学生時代、家庭教師をやっていた経験をもとに、家庭と家庭教師のマッチングサービスを開発されています。
「学校外教育費の家庭負担を減らすことで、教育格差を無くしたい」
そうおっしゃる辻さんの、熱き思いとは。
(柏原陽太)
【大学生までの経験・考え】
家庭教師センターに、不満があった
・学生時代は、どのように過ごしてらっしゃいましたか。
―小学校から大学までずっと剣道をしていました。大学になっても当たり前のように部活に入りましたが、
その一方で「働きたい」という欲求が高まっていきました。
中学生の時の職場体験で、和菓子屋さんで働いたことがとても面白くて、それが忘れられなかったんです。
部活を引退したあと、ファーストリテイリングでアルバイトを始めました。働くことが楽しすぎて、めちゃめちゃ頑張りました。
社員に追いつこうと努力した結果、社員だけの会議にも連れて行ってもらえたり、柳井正会長から直接褒章頂いたこともありました。
大学院では、ゲームを使って勉強のモチベーションを上げるための研究をしていました。
日本でうまくいっていないゲームの産学連携を盛り上げたいと思い、企業と一緒にイベントを開催したこともありました。
・現在の事業を始められたきっかけは、何ですか。
―いくつかありますが、1つは学生時代にしていた家庭教師の仕事で、不満に思うことがあったからです。
一つ目は、事前研修がないこと。登録してすぐ何も分からないまま家庭に行って教えることになりました。
最初の頃は指導計画もなく、わからないところを教える「場当たり的」な指導をしていました。
調べてみると、どうやらどこの家庭教師センターも研修は無いようでした。これでは場当たり的に教える先生が多いのではないのかと思ったんです。
二つ目は、センターがお金を取りすぎていること。
センターは家庭と先生とをマッチングしたり、テキストをコピーして送ってくれたりするぐらいで、ほとんど何もやってくれません。
その割には授業料の半分くらいを取られてしまうんです。これは取りすぎじゃないかと思ったんです。
・就職先を選択するにあたり、起業を考慮されましたか。
―就活はしませんでした。
学生時代、いろいろな社会人の方と会ってきましたが、
会社勤めの方よりも自分で会社を立ち上げた人のほうが楽しそうに話されているし、私と感性も合いました。
その時お会いした方々に口を揃えて「君は起業した方が良い」と仰って頂き、私に向いているのは起業なのかなと。
振り返ってみると、子供の頃からイベントとか集まりとかは自分でやりたい性分だったんです。
人に言われた事よりも自分ではじめたことに対して最高のパフォーマンスを発揮できる性格だなと。
だったら、自分が最高のパフォーマンスを発揮出来る環境を自分で作ってしまえば良いんだと考え起業を決意しました。
家庭と家庭教師のマッチングサービスを始めた理由は、私が家庭教師センターに不満があったことに加え、
そのサービスを欲しいという人が多かったこともあります。
現在、家庭教師の月謝は非常に高いです。一方、塾では月謝は安いのですが、
成績中位・下位層の子はペースについていけなかったりして面白くない。
そもそも学校の授業が分からない子が塾に行っても分からないんです。昔の私みたいに。
私の場合、家庭教師の先生が来てくださるようになり、今まで腑に落ちていなかった事が理解出来はじめました。
質問も出来るし、私に合わせた教え方をしてくれた為です。そしてなによりも勉強へのモチベーションをあげてもらえました。
そんな家庭教師をできるだけ安く提供することで、私のような子供が勉強に興味を持ち始める。
こういった良い出会いの機会を多く供給できる世の中にしていくことが私の思いです。
【仕事観・職業観】
実現したいのは「出社が楽しみになる会社」
・これまでの間に、影響を受けた書籍、もしくは経営者などいらっしゃいますか。
―スティーブン・R・コヴィー 著『7つの習慣』(キングベアー出版)や、デール・カーネギー 著『道は開ける』(創元社)、
ナポレオン・ヒル 著『思考は現実化する』(きこ書房)などです。
David Allen 氏が提唱する “GTD” というビジネスの考え方はとても好きで、今の仕事にも取り入れています。
影響を受けたのは、ザッポス社のトニー・シェイ氏です。ザッポスという会社は従業員がみんな、そこで働くことが楽しいと感じているんです。
日曜日になったら、月曜日に出社したくなる。従業員に「親友は誰?」と聞いたら、ほとんどの人が会社の中の誰かを挙げる。そんな会社なんです。
CEOの考え方にも、会社のバリューにも共感出来る、私が尊敬している組織像の1つです。
※GTD…デビッド・アレンの提唱した仕事術で、彼の著書『Getting Think Done』[日本名『仕事を成し遂げる技術 ―ストレスなく生産性を発揮する方法』(はまの出版)]の頭文字をとったもの。仕事を5つのステップに分けることで、生産性の向上を図る。
【人材観】
「ユーザー目線」を追求
・辻さんご自身が大切にしておられる価値観・考え方はありますか?
―「とにかく何でも楽しくしたい、面白くしたい」ということがあります。
素敵なサービスは、遊び心溢れる楽しい場所から生まれると思っています。
「迷ったらワクワクする方を、ユーザーが喜ぶ方を取る」というのがTeam OZのバリューの1つです。
あと、「本気のユーザー目線」を大切にしていますね。家庭教師においても、「お母さんにとって本当にこれが欲しいのか」をひたすら追求します。
たとえサービスをつくる側はユーザー目線で考えているつもりだとしても、ユーザーからみると必ずしもそうとは限りません。
作る側はユーザーではありませんから。
私は、サービスのシステムを作りながら、ずっとお母様方や学生へのヒアリングを欠かさず続けています。
【将来】
家庭教師を、さらに幅広く
・今後の事業について、成長イメージや戦略を教えていただけますか。
―5教科以外の家庭教師を提供できたら面白いと思います。例えば英会話やプログラミング、スケジューリング、
哲学や、先生の先生などが提供できるといいなと思います。
家庭教師以外でも、会計士や医師、弁護士やベビーシッターといったスペシャリストの紹介システムが構築されると面白いです。
また、進学校の高校生が、小・中学生を指導するということも考えています。
・新規でお考えの展開などがありましたら教えてください。
―家庭教師のサービス名はOZというのですが、実は家庭教師のサービスはOZのサービスの極一部なんです。
サマー・ウォーズって映画ご存じですか。そこにOZと呼ばれる仮想サービスが出てくるんです。
そこではOZのIDさえあれば、現実世界で出来る手続きのほとんどが出来てしまえる。
私はよく、サービスを考えるときに、将来がどうなっているかを妄想するのですが、私が想像する未来にはOZは間違いなく存在します。
きっと、そこでは近くに家庭教師を検索したり、近くにあるモノは貸し借り出来たり、
学生証を登録しておけば大学における手続きをオンライン上で行え、マイナンバーと結びつければ行政手続きも可能になります。
私はそういったサービスが早く欲しい。それも国主導の堅いものではなく、私が本当に使いたいと感じられる使い勝手の良いサービスが欲しい。
だったら自分で作ってしまおうと。
ただ、実績もないのにいきなり行政手続きなんて出来るわけがない。じゃあ出来るところから始めていこう。
それがOZ-eduという家庭教師検索サービスなのです。OZ-eduで構築された学生のデータベースは間違いなく将来のOZの礎になります。
もちろん、学生証は登録済みです。
・学生や20代のビジネスパーソンに向けて、一言お願いします。
―自分もまだ若いですが。笑
「何でもできる」ということを伝えたいです。特に学生の方は、「学生なんて」と言うのはやめて頂きたい。
失敗するかしないかは関係なく、とにかくやってみることが大切です。本気になってマインドを変えてやれば、貴方がやりたいことは実現します。
周りに否定されたら、私に連絡してください。応援します!
・5th・WestBoosterに参加されて、懇親会でほかの方とどのようなお話をされましたか。
―面白い学生の方がいらして、後日また会う約束をしました。
私のビジネスは学生との相性が良いので、すごくモチベーションの高い学生は大歓迎です。
というのも、学生へのリーチの方法として、たとえば京大の学生には京大向けの戦略を任せるというように、
大学ごとに一人の学生に戦略を任せたいと考えています。
これまで経営や戦略、マーケティングを勉強してきて、それを実際にやってみたい学生の方にお会いすることができました。
やる気のある学生の方は、ぜひ私まで連絡をください!
楽しい環境から、お互いの夢を叶えていきましょう!プログラマ志望も歓迎します!
Rails 触れると嬉しいです。