今回取材いたしましたのは、株式会社オークファン 代表取締役 武永修一さんです。
ショッピング・オークションの比較・分析サイト「オークファン」を運営されています。
学生で起業し、0から会社を作り上げた武永さんの、強い意志を感じるインタビューでした。
(聞き手:嶋内秀之 書き手:柏原陽太)
「
【仕事観・経験】
ゼロからつくる
「
・起業を意識した時期、きっかけを教えて頂けますか?
―大学4年生の時に起業しました。
ヤフーオークションに個人で登録し、個人事業主として取引をしていました。
しかし、規模が大きくなってきたので、税金や信用のこともあり、2004年に法人化しました。
当時は、司法試験のためのお金を貯める目的だったので、起業という感覚はありませんでした。
軍人だった祖父は、戦後、山口県で商いを始めました。
鉄くずを集めるところから事業をスタートし、三つの会社を三人の息子に譲りました。
そのような環境のため、親族の中で、経営の話、たとえば誰を役員にするかや、
取引先の話をすることが多かったです。
ですので、今思い返すと事業をするということに抵抗はなく、自然な感覚でした。
親の反応もいたって自然でしたね。
「
・創業経営者の、苦労、面白味を教えて頂けますか?
―創業経営者は、後任のプロ経営者と比べて、ゼロから一を作るという点で圧倒的に違います。
何が起こるか分からないですし、会社の全てに連帯責任を持ち、
これからどうなるか分からない事業に、人生を賭けるのです。
一方、プロ経営者は、事業や組織に見込みがなければ、引き受けなくてもいいと断ることができます。
もちろん、1を10や100にするステージでは圧倒的に優秀で、マネジメントに長けた実力者も多いです。
そういった意味で、ソフトバンクの孫(正義)さん、楽天の三木谷(浩史)さん、
ファーストリテイリングの柳井(正)さんなどの創業経営者はやはり違いますね。凄味があるというか。
そのような方は、一度引退してから社長に復帰しても成果が出ることが多いんです。
例えば米国スターバックスのCEOがその例ですね。
「
・影響を受けた書籍、もしくは経営者などいらっしゃいますか
―日本マクドナルドで有名な藤田田さんが書かれた
「ユダヤの商法-世界経済を動かす」(ベストセラーズ)ですね。
これまで色々な成功哲学の本を読みましたが、全ては個々の流れなのだと思いました。
読んでいて痛快な本でした。
同じ山口県の先輩である柳井さんの高い志とストイックさや、
ヤフーの宮坂(学)さんの大組織を動かすマネジメント実行力を尊敬しています。
「
【人材観】
オンリーワンの独創性
「
・現在、自社の社員の皆さんに大切にしてほしいと伝えておられる価値観、
考え方などありましたら、お伺いできますか。
―自社の社員には、自己研鑽の意識を持ってほしいと常に思っています。皆優秀で才能豊かです。
会社と共に、自分自身の能力を高めるために仕事をしてほしいですね。
ベンチャーにはオンリーワンの独創性が必要となります。
一点突破でまず高みに達するまで徹底してやることを意識しています。
ECの分野でも、健康に特化すればケンコーコム、野菜に特化したらオイシックスなど、
キャラが立っているところがうまくいっています。
そんな状況ですので、オンリーワン、独創性は自社に常に不可欠です。
当社の場合、労働集約ではなく、知恵勝負をしないといけません。
ユーザーの関心を常にキャッチして、独自のサービスを創る、そういうことができる人材を求めています。
「
・採用の際に大切にされていることはどのようなことですか?
―採用では、仕事への姿勢、柔軟性、素直さ、志などをみています。
スキルも考慮しますが、仕事への姿勢や、他メンバーと合うかが、すごく大切ですね。
私のネットワークからの入社が以前は多かったですが、社員からの紹介で募集の幅が広がっています。
そのような方は、自社にフィットすることが多いので、すごくいいですね。
「
・ブログを読んでいる学生や20代のビジネスパーソンに向けて、一言お願いします。
―起業志望の方には、「まずは形式的にでも起業をし、一方で慎重に進める」ことをオススメします。
何も考えずに起業し、メシのタネが無く、親から仕送りをしてもらっている人、
その反対に、経営についての知識はすごくあり、ビジネスプランコンテストなどに多く出ているが、
いつまで経っても踏み出せない人と、両極端な方が多いと感じています。
起業はハイリスク・ハイリターンなので、まずは企業して経営者のマインドを持つ。
一方で、事業が決まり収益が経つまでは勤め人としても頑張る、
という選択肢がいいのではないかと思います。
とりあえずやってみてください。身近なチャンスが見つかってきます。