株式会社Ikkyo Technology 代表取締役 横川毅氏

2014年07月17日

今回取材いたしましたのは、株式会社Ikkyo Technology 代表取締役 横川毅さんです。
コンピュータービジョンの技術をクラウド上で提供するサービスCATEGORIFICを運営されています。
高校を辞めて、アメリカへ。現地の学校を卒業したのち、
厳しい金融の世界を経験し、2人で現在の会社を興されました。
「自由になりたかった」という横川さんの、起業や仕事に対する考え方とは。

(柏原陽太)

【大学生までの経験・考え】

現場で多くを学んだ

〇高校1年生の時、学校を辞めてアメリカに渡られたということですが、そのきっかけを教えていただけますか。
-中学生の時から日本に閉塞感を感じていて、そこから逃げたいと思っていました。
その一番の近道が外国に行くことだと勝手に思い込んでいました。

〇起業前、リーマン・ブラザーズや野村證券でお仕事をされていたということですが、
そのきっかけを教えていただけますか。
-学生時代、リーマンにアプライしてみたら社員の方に気に入られて、すぐにその方のチームでアルバイトをすることになりました。
はじめは英語のプレゼン資料を日本語に訳したり、先輩のみんなに頼まれる業務をとにかく何でもやっていました。
金融業界を選んだのは、勉強したかったからです。勉強するために大学院に行ってそこにお金を払うよりかは、
仕事が厳しいことで有名な外資系の投資銀行で経験を積もうと思いました。
当時は、大学院に行くよりも実務からの方が多くのことを学べると思っていましたし、その上お金ももらえるということに魅力を感じていました。

金融業界の中でもリーマン・ブラザーズを選んだのは、一番初めに内定をもらったからです。
特別この会社にこだわりがあったわけではないんです(笑)。
仕事をする上で、誰と働くか、その人達と波長が合うかとかのご縁のようなものはとても大切だと思っています。
その点で、「この人たちなんか面白そうやな」と思えたということも、この会社を選んだ理由にはあります。



〇自ら会社を設立されたいと思われたきっかけは何ですか。
-会社を設立したいというよりかは、その以前からずっとただ漠然に自由になりたいなという風に思っていたのが強かったです。
たまたま、アメリカ人の当時は友達だった人間が声をかけてくれたのがきっかけになり、
共同代表でCTOの林と僕の二人でIkkyo Technologyをつくりました。

【仕事観・職業観】

それぞれの場所で、自分の考えを貫く

〇CATEGORIFICを始められたきっかけを教えていただけますか。
-ある大手ゲーム会社からユーザー投稿ビジュアルコンテンツの監視業務の効率化に関する相談を受けたのが、最初のきっかけです。
これは、これまで完全に人力に頼って行われていた領域ですが、これに人工知能のサポートを付与することで90%以上のコストを削減できました。
コンテンツ監視というのは、どうしてもコストの概念で考えられがちです。
これを導入企業の売上に貢献するものに変えたいと考えました。
企業に蓄積されているビジュアルコンテンツを売上貢献に活かすサービスとして、CATEGORIFICを開発しました。

 


〇起業をする前としてからでは、仕事に対して考え方は変わりましたか。
-自分がやりたいと思ったことをできると、すごく嬉しいです。これは今も昔も変わらないと思います。
ただ、会社という形となり、色々な人が関わるようになると、責任の重さが変わってくると思います。
人付き合いについてより高い意識をもって捉えていくことが、とても重要だと感じています。
また、以前から感じていることなのですが、日本において全てが東京一極集中になっていることについて
問題意識を持っています。今日では様々な技術が高い水準に到達しているわけで、本当の意味で、
場所にこだわらずに仕事が出来る方法があるはずだと信じています。

〇ご自身の考え方に影響を受けた書籍、もしくは経営者などはいらっしゃいますか。
―歴史小説が好きで、よく読みます。特に浅田次郎さんの作品が好きです。
歴史小説と言えば、司馬遼太郎さんが有名ですし僕も大好きなのですが、
司馬さんの作品が歴史を歴史ぽく比較的客観的なイメージで描いているのに対して、
浅田さんの作品では登場人物の主観や感情がこもっている気がします。
そこに何かこみあげてくるものがあるというか、人間の本質や生き方に迫ってくる何かを感じる時があります。
それに刺激を受けることがよくあるので、浅田さんの作品が好きです。

経営者の方では、アメリカのヘッジファンドであるバレストラキャピタルのジェームズ・メルチャーさんです。
僕の中では、金融に携わる人はギラギラしている人が多いイメージがあるのですが、
彼は僧侶のような出で立ちなんですね。悟りを開いているというか。
sophisticated(洗練された、教養のある)という単語がまさに当てはまる人です。
彼は、金融業では多い短期の取引で収益を上げるというスタイルではなく、
数十年から百年に近い長いスパンで世界を見通していました。僕は、彼の長期を見通せる知性に衝撃を受けました。
彼の人生がその能力の礎になったのでしょうか。
彼は若い時は株式ブローカーをしていましたが、失敗ばかりだったそうです。
しかし、コツコツと自分の考え方を貫きながら努力された結果、40歳くらいでファンドを作り、
そして70歳になりようやく日の目を見て大きく世間の注目を集めるようになりました。
自分の考え方を貫き通せば、いつかは認められる。焦らなくていいんだと思いました。

【人材観】

フィーリングが大事

〇現在、チームの皆さんに共有され、大切にされている価値観・考え方はありますか。
―一番大切なことは、仲良くしてほしいということですね。楽しくやることが大切だと思うので。

〇新しいメンバーを採用する際、大切にされていることはどのようなことですか。
―先ほどの価値観や考え方の話にも通じるのですが、フィーリングが合うことを大切にしています。
大企業だと、まず「使える」か「使えない」かで振り分けてしまうところがあるのですが、
一緒にチームを作っていくことを考えると、まずは人柄やフィーリングが大切じゃないかと思います。

〇チームの皆さんの成長に向けて、何かなさっている施策などはありますか。
―チームの中は、並列であってほしいと考えています。言いたいことが言える環境が大切なので。
自分自身に対して「自主性を持ってやろう」と言い聞かせて反省することが多々あるのですが、
チームのメンバーに対して「成長しろ」と言うことは別にしないですね。


【将来】

自分たちだからできるものを

〇今後の事業や新規でお考えの展開について、成長イメージや戦略を教えてください。
―現在、画像認識という領域で事業を進めているのですが、これからフォーカスを変えていくことを考えています。
自分たちがやっていて意味のあるもの、自分たちがやる必然性があるものを仕込んでいます。
最近、技術をベースにしてサービスを作っていくというアプローチが間違っているのでは、と感じています。
僕たちはエンジニアやビズデブである前に一人一人の人間です。それぞれに異なるバックグラウンドがあります。
その人たちが集まるからこそできるものがあるはずだと考えています。

〇このブログを読んでいる、学生や20代のビジネスパーソンに向けて、一言お願いします。
―起業は、人生のその瞬間瞬間でのたくさんあるオプションの一つにしか過ぎないと思っています。
起業して失敗したとしても、それで何か終わるわけでは決してありません。
ダメだったら以前いた業界に戻るなり、他の仕事に就くなり、ワーキングホリデーをとったり、
バックパッカーになって世界を放浪すればよいと思います。
もっと自由に考えて、たくさんの選択肢が存在することを自覚しないと、起業するということも、
結局は周りが敷いたレールの上に乗っかっているだけということになるのではないでしょうか。

〇6th Westboosterに参加されて、懇親会で他の参加者の方とどのようなお話をされましたか。
―XSの柴田さんとは、今度また改めて会う約束をしました。
柴田さんも過去に金融関係のお仕事をされていたという事で、話が合うような気がしました。
この機会をきっかけに、人のつながりが広がりました。