ライフネット生命保険株式会社 常務取締役 中田華寿子氏

2013年03月19日

 

今回、取材しましたのは、ライフネット生命保険株式会社、常務取締役の中田華寿子さんです。

電通ヤング・アンド・ルビカム株式会社、スターバックス コーヒー ジャパン株式会社、

株式会社GABAという様々な職歴をお持ちであり、2008年4月にマーケティング部長として

ライフネット生命に入社、2011年4月より現職でおられます。

 

WestBoosterでは、著書『10万人に愛されるブランドを作る!』の内容をベースに話していただきましたが、

そこでは聞けなかった学生時代のお話や、中田さんが大事にされている価値観に深く迫ってみました。

(聞き手:漣 千帆、編集:山内 優花)

【大学生までの経験・考え】

コミュニケーションの奥深さに気づいた学生時代

 

・学生時代、何に励んでおられましたか。

―テニスサークルや、アルバイト、ボランティアなどごくごく普通の

 大学生活をしていましたね。

 ボランティアは、知的障害のお子さんを持った親の方々の支援

 活動を行なっていました。

 

・就職先を選択するにあたり、重視されたことは何ですか。

―座学はあまり好きではなかったので、早く社会に出て働きたいと

 いう気持ちは強くありました。

 具体的に何をしたいかはその時点ではまだ決めかねていました

 が、社会学を専攻していたこともあり、コミュニケーションに特化し

 た仕事をしたいとは思っていました。

 学生時代の友人との交流や活動の経験から、自分が意図したこ

 とがいろいろな媒介を通じて、いろいろな解釈をされ、その結果、

 予期しなかったような人間の行動につながることがあるということ

 に気づいてコミュニケーションを駆使する醍醐味を感じたんです

 ね。あとは、世の中の仕組みがよく見える見晴らしがいいところに

 行きたいと思い、広告代理店に就職しました。当時、景気が良か

 ったこともあって、物やビジネスがよく動いていたので飽きることは

 全くなかったんです。

 また、広告代理店だと様々な業種の方と関わる機会が多いので、

 立場によって同じ事象の見え方が大きく違うということも実感でき

 て、その点も魅力に感じていました。

【職業観】

私は理念を実現させるサポーター

 

・中田さんが持っておられる、働くうえでの考えや方針をお聞かせください。

―代理店で多くのクライアントさんのお仕事を同時並行でさせて頂

 くのは魅力的だったのですが、自分がそれほど器用でないことに

 も徐々に気がついてきて、1つの業務に特化したいという気持ちが

 芽生えてきたことと、結婚というきっかけなどから、スターバックス

 コーヒージャパンに転職しました。

 職場が変わっても、広告代理店に勤めていたころの経験を活か

 すことができたのは幸いでした。というのも、広告代理店の営業

 担当は担当クライアントの課題解決のためにチームを作って解

 決していくということから、自分だけでは解決できないことでも、

 世の中にはその筋のプロフェッショナルの方がたくさんいて、そ

 の方々の力やアイデアをお借りできれば、自分一人では到底実

 現できないような想像以上のことを実現できることを何度も体験し

 ました。

 この経験は前例のないスターバックスのようなベンチャーの立ち

 上げの際にはとても役に立ちました。特に新しい仕事を立ち上げ

 る際、同じ志を持ったメンバーで結成されたチームがいれば、当

 初想定した以上のパワーのあるものができるんですよね。

 この気づきから、特化したスキルを持った人たちの力を借りながら

 マーケティング、コミュニケーションに特化した道でやっていこうと

 いう気持ちも強くなりましたし、今の仕事にもベースになっている

 考え方です。

 

・仕事に対して考え方が変わる瞬間・きっかけなどは何かありましたか。

―スターバックスコーヒージャパンを辞めたあとの2年間は、これか

 らどういった仕事をしていこうかと考えていた時期でもありました。

 考えているうちに、私は、『確固たる社会的理念を持っている人

 の理念を具現化させていくことに自分の存在意義を感じる』と気

 づきました。特に、ベンチャー企業には苦労がつきものです。

 どんな苦労があっても、自身の理念を貫き通すファウンダーの意

 思をチームと共有し、マーケティングやコミュニケーションを通じ

 て実績を一つずつ確実に積み上げていくことにやりがいを感じ

 ています。

 

・ライフネット生命株式会社のブランディングで苦労したことを教えてください。

―いろいろありますが、まず、ライフネット生命はネットで生命保険

 を販売している企業ですが、実は生命保険に自ら積極的に入り

 たい、という人の数はいないんです。

 結婚や出産でライフステージが変わって守るべき人ができたこと

 により必要に迫られたり、生命保険の必要性を何らかの形で喚起

 されて加入をする人がほとんどではないかと思います。

 そういった状況でゼロから立ち上げた全く知られていないライフ

 ネット生命にネット上で自ら申し込んでもらうためにはどうしたら

 よいのか、ということはとても悩みました。

 コストを極力かけずに当社の存在を知っていただき、共感してい

 ただくためにはどうすればいいか?

 という点は一番苦労しましたし、今も課題ではあります。

 ただ、悩んで悩んで暗くなったことは一度もないんですよ!

 従業員の間には、自分たちのやっているビジネスに対する社会

 的正当性の揺るぎない想いと、将来確実に消費者のニーズは

 大きくなるという自信はありました。

 しかし、ベンチャー企業はいくら時間をかけても成長すればよい

 というわけではなく、時間をかけずに成長しなくてはいけないと

 いうチャレンジはありましたね。

 ベンチャーは成長し続けなければいけません。

【人材観】

様々な価値観に触れあう=アイデアの原点!

 

・部署のチームの皆さんに大切にしてほしいと伝えておられる価値観などありますか。

―当社のスタッフは様々な業界から、自分の腕を試してみたいと

 いう思いで集まってきたスタッフがほとんどです。

 もちろん生命保険会社出身の者もいますが、ネット企業、メーカ

 ー、コンサルタント等、さまざまな経験、バックグランドや価値観

 を持っているので、暗黙の了解で業務が進むことはありません。

 どんなに若くても同僚、上司に対して自分で考えた意見をはっき

 りと伝えること、そして同様に自分の意見とは異なる他のメンバー

 の意見に耳を傾け、議論をかわすことで生まれてくるアイデアは

 たくさんあります。

 多様性を重んじ、異なる考え方や意見を持つ相手をリスペクトし

 ながら、いい意味でのスパーリング・パートナーとして丁々発止

 しながら決めていくことで、革新的なアイデアが生まれてくると思

 っています。

【将来】

これからも、もっと愛されるブランド作りを

 

・今後のブランディングについて、成長イメージや戦略などあれば教えて下さい。

―おかげ様でライフネット生命の保有契約件数は順調に増え、

 2013年1月末には16万件を越えました。

 一方で、若い世代の20代、30代の保険未加入者が増加してい

 る状況があり、こうした人たちの中には、家庭を持ったり、子供を

 授かったりと、万が一のことがあったときに、生命保険による保障

 がなければ、 残された家族や周囲が金銭的困難を迎えてしまう

 人たちが少なくありません。

 そんな中、 シンプルでわかりやすくお手頃な生命保険のニーズ

 と成長ポテンシャルはまだまだあると感じています。

 そんな人たちにとにかくライフネット生命の存在や存在意義を知

 っていただき、ニーズが顕在化したときにちゃんと選択肢の一つ

 に入れてもらえるように、商品やサービスやはたまた、企業の雰

 囲気でもどんな形でもいいので、「ライフネット、イイネ!」と思っ

 てもらえる記憶や関係性を将来のお客様と構築し、継続すること

 が大事だと思っています。

 

・このブログを見ている20代のビジネスパーソンに向けて、一言お願いします。

―まずは、今の自分に与えられた業務で、誰にも負けない実績を

 出す専門家を目指す、という目標を持って仕事をしてはどうでしょ

 うか。

 その熱意や真摯な姿勢はいろいろな人が見ています。そしてそん

 な熱意をもって生き生きと仕事をする若い人と、共に働きたいと思う

 人は社内にも社外にもたくさんいます。

 今日の確実な一歩から将来のチャンスは大きく拡がると思いますよ。