今回、取材したのは、株式会社gumi、代表取締役の國光宏尚さんです。
高校卒業後、中国、チベットなどのアジア諸国、北米、中南米など約30カ国を放浪。
2004年米国 Santa Monica College卒業後、株式会社アットムービーに取締役として参画しました。
そして、2007年に株式会社gumiを創業され、
現在、ソーシャルゲームを中心に世界を相手にグローバルな展開をされております。
今までの経験から生まれた、國光さんが持つ“グローバルな視点”とは。
また、そこから見える今の日本とは。
(聞き手:漣 千帆、編集:山内 優花)
・今の学生がおかれている現状というのは、どう思われますか。
―今の厳しい時代の中、自由に生きるということが非常に難しいです。
昔はいい学校に入って、いい会社に入って、出世するという人生の保障がされるレールが敷かれていて、
それに乗っていれば幸せな人生が送れました。
しかし、今はそのレール自体が無く、あったとしてもそのレールの行き先が幸せな人生とは限らない。
大企業に入っていてもリストラされる時代です。
・具体的に、グローバル化というのは、日本にどう影響するとお考えですか。
―例えば、人件費。
ファーストフードのアルバイトを例にあげると、日本にある店舗とインドにある店舗。
提供する価値は一緒にも関わらず、国境の違いで給料は全然違います。
すると、高い給料を求めて外国人がどんどん日本に移住してきます。
結果、その企業の従業員全体の給料が下がります。
このような事態を招かないために、今までは国境で守られていたのですが、
今後はどんどん崩れてきます。
これは、グローバル化の影響の1つといえます。
・インターネット市場においても、そのような影響はあるのですか。
―もちろんあると思います。
人件費の安いインドのプログラマーに頼む、などが考えられます。
インターネットやテクノロジーには国境は関係ありません。
他にも、製造業や企業の経理作業などもアウトソーシングしていくでしょう。
・そういった厳しい時代の中で、日本の学生はどうすればいいでしょうか。
―そうですね。最近、インドや中国は、すごく教育に力を入れ出していますし、
自らの力で豊かになっていこうという思いが強いのです。
彼らは先進国の仕事を奪っていきます。
特に、学生は絶対いい大学に入り大企業に入るんだ、という“必死感”があるかないかで変わってきます。
このままだと日本の高い物価のまま給料だけは下がる、という事態も避けられませんので、
日本の学生は『他の国の学生ができないことをする』ということを意識するべきです。
・今の日本の現状から、これからどのような時代になると思われますか。
―本当に悲惨ですよね。
将来、収入が増えるかといわれたら、少子高齢化が進みますし厳しいです。
普通に考えて日本は破綻します。
そのため、年金、医療費、警察費、消防費などの支出を抑えなければいけない。
これらがどんどん減ってくることで、貧困の差が生まれてしまい犯罪も増えてしまうのでは、と考えています。
アルゼンチンでもエクアドルでも、このような事態は実際に起きています。
国は当てにせずに自分の力で生きる術を身に付けるべきだと思います。
・最近、國光さんが影響を受けた書籍や映画はありますか。
―ぜひ『闇金ウシジマくん』と『レ・ミゼラブル』は見てください!
世の中の現実や貧困とはどのようなものか、ということが身に沁みて分かります。
恵まれた生活をしているからこそ、そういう現実を見るという行為は大事だと思いますし、
いろいろ考えさせられるいい作品でした。
・そんな厳しい時代の中、これからの日本を支えていく若者に対して、アドバイスをお願いします。
―2つの力を身に付けるべきです。
1つめは、基礎力。社会の中で生きていくための力です。
自分を使ってもらうために必要最低限の力だと思ってください。
特に語学力は、これからの時代において必須になっていきます。
学歴、語学力、自分だけが持つスペシャリティなもの。
さらに、スペイン語やロシア語のように、話せる人が少ない語学を学んでいると+αになると思いますよ。
また、スペシャリティなものというのは何でもいいのです。
自分だけが持つ目に見える能力を、些細なことでもいいので今のうちに磨きましょう。
そして、2つめは本質的な力。
今の時代は何が起こるか分かりません。
そこで、問題が起こったら、何が原因なのかを考えてください。
言われたことを受動的にやるだけじゃなく、自分の頭で細かいところまで考えて、
解決に結びつけます。
こういった能力というのは、日々の練習からでしか身につかないので、
日常の当たり前のことから世の中の出来事などに対して『何で?』を繰り返してください。
何に対しても疑問を持つ姿勢というのは、会社に入ってからも大事です。
・このブログを見ている学生、ビジネスパーソンに一言お願いします。
―この厳しい現状に負けず危機感を持ってください。
日本の中だけでなく世界でも活躍できるようになると人生の選択肢も広がってきますし、
多くのチャンスに恵まれます。
激動のグローバル時代を生き抜こう!