Moff 高萩昭範氏

2013年08月06日

 

 

今回取材したのは、Moffの高萩昭範さんです。

京都大学法学部を卒業後、コンサルティング会社や自動車メーカー、食品メーカーを経てMoffプロジェクトを立ち上げられました。

「おもちゃをアプリでHackする!」というコンセプトのもと、おもちゃとアプリの融合を目指して製品開発をしておられます。

 

憧れの人、好きなものを追いかけておられる姿に、事業にかける情熱を感じました。

(柏原陽太)

 

【大学生までの経験・考え】

憧れの起業家を追いかけて

 

・今の事業を興されたきっかけや原体験はありますか。

―学生時代から、ソニーの盛田昭夫さんにあこがれていました。

盛田さんの、オリジナリティやイノベーションに溢れる製品を作って

それを世界中のユーザーに使ってもらう、そして世界的なブランドを

作り上げたというその生きざまへの憧れから、ハードウェア関係の仕事をやりたいと思いました。

 

・盛田さんを追いかけるために、学生時代に何か活動はされていましたか。

―就職活動の時が、一番盛田さんへの思いが表れていた時期でした。

大学時代は法学部でしたが、森田さんへの憧れもあってメーカーのマーケティングをしたいと思っていました。

しかし、自分がこのままメーカーに就職しても盛田さんのようにはなれない、

普通のサラリーマンで終わってしまうと思ったので、いきなりメーカーに入ることはやめました。

少しでも森田さんに近づくために、自分を高められる仕事は何かと考えて、コンサルティング会社に就職しました。

このとき起業しようと思わなかったのは、もっと社会人として経験を積んでからするべきだと考えていたからです。

起業や就職など、どのような形であれ盛田さんのような存在になりたいと思っています。

 

・具体的に起業を視野に入れ始めたのは何歳くらいですか。

―20代後半ですね。ハードウェアに携わりたいという思いから、

コンサルティング会社から自動車メーカーのメルセデス・ベンツに転職しました。

そこで働いていたときに、会社の創始者かつ自動車を世界で初めて開発した

ゴットリーブ・ダイムラーとカール・ベンツのようになりたいと思うようになったんです。

彼らは自動車を最初に発明しただけでなく、その会社を125年も続く尊敬されるブランドに育て上げました。

その生きざまがカッコいいな、彼らのようなことをやってみたいなと思い、起業を考えはじめました。

プロダクトを一から生み出して、それを世の中に送り出すことをやりたいという思いが抑えきれなかったので、

まず自動車業界より、商品企画から販売までにより深く関われる食品業界に転職することにしました。

しかし、会社で製品を一から企画しても、それは会社の製品の一部に過ぎません。

憧れのゴットリーブ・ダイムラーやカール・ベンツ、そして森田さんのビジョンとは違うと感じ、その会社を辞めました。

そして、今の事業に取り組むことにしました。

 

【仕事観・職業観】

物事の基準は、「好きかどうか」

 

・今の事業を始められたきっかけは何ですか。

―今年1月29日に開かれた、大阪市主催のハードウェアとITを組み合わせたプロダクトを開発するイベント

『ものアプリハッカソン』に出て、そこでできた製品が面白くて事業を始めました。

それまでは自分でWebサービスなどを行っていましたが、どこか物足りなさがありました。

かといってハードウェアへの参入は莫大な投資が必要で、市場のプレイヤーも既に決まっているので、

選択肢として考えていませんでした。ですが、『ものアプリハッカソン』に出て、

ものとアプリと組み合わせることでハードウェアでのスタートアップができると分かり、この事業を始めました。

 

・現在から振り返って、何歳の時にどのような取り組みをすればよかったなということはありますか。

―これまで、コンサルやメーカーのプロダクトマネジメント、そしてWebサービスの仕事をしてきました。

これらの経験を振り返ってみると、今やっているMoffのプロジェクトにすべて役立っていると思います。

コンサルをやっていたからこそ事業計画が書けたり顧客インタビューができますし、

メーカーで企画やプロダクトマネジメントをしていたからこそ企画ができたり生産のことも分かります。

Moffはアプリとの組み合わせなのでWebサービスの経験も生きてきます。

全てのことが今に生きてきているので、いろいろな仕事をやってきてよかったと思っています。

 

・それらの経験のなかで特にやってよかったと思うことはありますか。

―メルセデス・ベンツの商品企画で、自社ブランドの中でも最高級であるAMGの担当をできたことです。

「ブランドとはストーリーを作ることである」ということであったり、そのブランドに関われる誇り、

そして自分が好きで好きでたまらないものに携われた経験を得られたことが良かったです。

自分が好きなものに関わる方がテンションが上がるので。

私は今でも「好きでたまらないか」どうかを基準に物事に取り組むようにしています。

 

・現在までに、影響を受けた書籍はありますか。

―『ローマ人の物語』(塩野七生 著 新潮文庫)に登場する、ローマ人の英雄カエサルの影響をかなり受けました。

何か問題が起きた時に、一つ一つ問題を解決することも大切ですが、その根源を解決することの大切さを学びました。

自分の人生観・価値観に影響を与えた本です。

普段から、自分が何かするときに「カエサルならどうするか」を意識しながら行動しています。

 

【人材観】

新しいことに挑戦する

 

・チームの皆さんが共通して持っておられる価値観はありますか。

―「新しいことに挑戦する」ということですね。

新しいことに挑戦することにワクワクするかは大切にしています。

 

・新しいアイデアを引き出すために日常心がけておられることはありますか。

―何にでも興味を持つこと、いろいろな人の話を聞くこと、いろんな物事を観察すること。

日頃、この3つをやっています。電車でスマートフォンを触っている人は、なぜ触っているのかや、

カフェで話している人はどんな話をしているのか、観察しています。

 

・チームとして大切にしたいことはありますか。

―新しいことに挑戦することにワクワクすることと、それを実現するために努力できることを大切にしたいです。

新しいものを取り入れて、どんどん新しい物を発想して、そしてそれをどんどん形にしていく。

このスピード感を大事にしたいですね。

 

【将来】

既成概念の転換

 

・今後の事業について、成長イメージを教えていただけますか。

―グラフィカルユーザーインターフェースから、ものがインターフェースになるという、

インターフェースの概念を変えるということをやりたいです。

そのために自分ができることとして、画面を使ったスマホのゲームのような遊びから、

実物のおもちゃを使った遊びへの転換を目指します。

まずはそれを事業化して、世界で自分たちの製品を売るということを実現させたいですね。

 

・WestBoosterに参加して、懇親会で何を質問されましたか

―WestBoosterは、我々の新しいプロダクトを初めてお披露目する場でした。

懇親会の場で、参加者の方から海外意識への共感できるという声や、

おもちゃという方向性に夢や未来がある意見をたくさん頂けました。

このようなお言葉が私たちにとっていい自信になりました。

そして何より、私にとって特別な存在であり、今回ゲストスピーカーとして参加されていた

Cerevoの岩佐琢磨さんに今の活動を報告できたこと、そしてアイデアを褒めてもらえたことが一番うれしかったです。

あと、トーマツベンチャーサポートさんからピッチ登壇のオファーをいただくなど、

新しい出会いがあったことが良かったですね。

 

・学生や20代のビジネスパーソンに向けて、一言お願いします。

―早く成長したいのか、本物になりたいのかという2つの価値観があると思います。

私は早く成長することが必ずしもいいことではないと考えています。

最近の若い人は早く成長しようとしがちですが、

本物になりたければ焦らず、ゆっくり成長するというやり方もあるのではないでしょうか。